2014年5月24日土曜日

最後に勝つのはコンテンツ作りのプロ

新しいサービスが登場すると、旧来のプレーヤーは過去のプラットフォームに固執した発想をするから、成功しない(というか、そもそもチャレンジしない)、という話をよく聞きます。例を挙げるとソシャゲで、ソシャゲ勃興当初は、コンシューマゲームの制作者やユーザの少なくない数の方が、「こんなのゲームじゃない」と嘆かれたのではないかと思います。

しかし、勃興期はともかく徐々に市場成熟に向かうと、状況は変わってきます。ネイティブアプリも増え、作り込まれたゲームがより可能になっていきます。コンシューマゲーム業界から、その道10年、20年の達人がソシャゲ業界にも参入し、ゲーム作りの本質を押さえつつ、新しいプラットフォームでのやり方を果敢に吸収、ヒットを飛ばしていきます。プラットフォーム初期は、そのプラットフォームと発生的に先乗りしたコンテンツがもてはやされますが、最後に勝つのはやはりコンテンツ作りの本質を押さえたプロによる、新しい場を踏まえて作り込まれたコンテンツのように見受けられます。

さて、この経験法則はなかなか汎用性があるように見えませんでしょうか?結局はいいものを作る力とその豊富な経験が必要で、それは一朝一夕に養えるものではないからです。寡聞ながら、いま、ネット業界では動画の時代だと言われているようですが、ここで勃興するコンテンツクリエイターは果たして長期的勝者になりうるでしょうか?

杓子定規的に言うと、答えはNOです。オンライン上でのコンテンツクリエイターが事務所契約するなど、「プロ化」が進んでいますが、実際に勝ち星を上げていくのは、オンラインの特性を(1-2年試行錯誤で苦労を重ねたとしても)研究し勝つであろう、旧業界出身の頭の柔らかいプロだと思います。ちなみに、プロが趣味でオンライン投稿してネット人気を博しているケースも初期から少なくないので、この手のクリエイティブはやはりプロ優勢という経験則を裏付けるのではないかと思われます。

メディアについても同様かと思われます。ブロガー・ソーシャルブロガー・ビデオブロガーなど、アマチュアやセミプロの書き手がメジャー媒体にないユニークな切り口(と体を張った執筆)で面白い記事をリリースしていきますが、やはり、長期戦になると、プロの物書き・編集者が優勢かと思われます。無料だから書くインセンティブが小さかっただけで、ビジネスモデルの成熟などに伴い、書く必然性が高まると、当然実力のあるプレイヤーが参入してきます。

もちろん、「ネット上がり」のクリエイターが勝ち続ける可能性はなくはありません。しかし、それは、早期にあまりにも人気を集めすぎて「勝ち逃げ」ている可能性があります。フォロワー数が圧倒的であれば、後発よりも多少見劣りするコンテンツでも、ある程度面白ければ、後発者より先に拡散し、主導権を握れます。ネットの世界は投稿者の間でもやはり先行者利益があるかと思います。ただし、その先行者利益に預かれるのはごく少数です。

このコンテンツ作りの新興者というのは、ベンチャー企業に非常によく似ています。若くて未経験で、でも、勢いがある。それをベテランが豊富な経験でたしなめ、成長を見守る、ということができれば、失敗もあるだろうが、大きな成功もありうる、ということになります。そうした、新プラットフォームにぽっと現れた者をフィーチャーし、大きく育てうる存在というのはこれから必要なのではないかと思います。それもまた、新しいプラットフォームの特性の前に試行錯誤しつつも、育てるプロこそが勝負に強いのではないでしょうか。

「先行勝利」のために必要な要素はここに包含されていませんが、「継続勝利」という観点から考えると、またちょっと違う見え方がするのではないか、と思い、筆を執った次第です。

とはいえ、プラットフォームのあり方が違えば、この経験則とは少し違った未来を示しそうです。その前段として、次回は、プラットフォームに乗っかるコンテンツの可能性について考えてみたいと思います。



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